志経営アドバイザーで、株式会社ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
9月からとある事業法人でSDGsの導入支援をしています。
同時に経営を立て直す必要がある中小企業の支援もお手伝いしています。
全社のSDGs導入はSDGコンパスというものをベースに、なぜSDGsに取り組むのかを考えます。
一方、業績を立て直す支援をする際に『値上げ』交渉の一つとしてSDGsを活用できることに気が付きました。
値上げ交渉って、多くの社長が最も苦手なことの一つだそうです。
特に相手が大きな企業だと避けたくなるそうです。
私の場合銀行員を30年やっていましたが、値上げに相当するものが『金利の引き上げ』でした。
金利というものは貸出先である中小企業の財務内容を基に、各金融期間が独自のリスク分析結果を加味して貸出金利を決定する、ということが王道だと思っています。
私の前勤務先の金融機関はリスクにとても敏感な金融機関だったので、取引先の決算内容が悪くなると直ぐに金利の引き上げを交渉しろと、本部から言われるようなところでした。
そのため何度か金利の引き上げ交渉をしましたが、決してやりたい仕事ではなかったです。
金利の引き上げ交渉に上司が一緒に行くことは少なかったように記憶しています。
実際には貸出先の信用力が変われば、貸出金利に反映させるというのが欧米流の考え方では一般的なのかもしれません。
しかし、日本では過去からの付き合いといったベタな付き合いの部分があり、杓子定規的な対応をすると後々失った信頼を取り戻すためには相当の労力を要する必要があります。このさじ加減が難しいんです。
金利の引き上げ交渉をする時って、それなりに事前準備が必要なんですよね。
貸出先の業績推移を示し、格付けにどのような変動があり、それが金融機関の収益にどのような影響を与えるのかということを丁寧に説明する必要があります。
でも、この説明をしただけで「わかりました。金利を上げてもらっていいですよ」なんてことには先ずなりません。
こちらがどれだけ説明をしても、相手が心から納得することはありません。
金利を引き上る際に、業績が良くなれば金利の見直しには弾力的に応じると言いますが、口頭での約束であり、どの程度業績が改善すればよいのかまでは金融機関は説明しません(審査ノウハウの流出にあたるということが表向きの理由です)。
話をもとに戻しますが、一般企業の場合、値上げ交渉をするためには、原材料が毎月どのように変動しているのかを示すことがポイントになります。
原材料の値決めの根拠が必要なのです。
そこで、最近中小企業の経営者にお伝えしていることは、SDGsを活用することなんです。
なぜ?って、それは2023年3月決算期から、上場企業、正確には有価証券報告書を発行する大会社は有価証券報告書の中で『サステナビリティ』に関する記述を書くことが義務化されたんです。
大企業は2030年にSDGsの達成を国内外から強く求められています。
先程のサステナビリティの記述は毎年更新されます。
それも、大企業やその子会社だけがSDGsを頑張れば良いということではありません。
大企業と取引をしている仕入先や販売先も含めてSDGsの達成を求められます。
大企業からすると、今後、取引するべき中小企業とは自社のSDGs達成に貢献する中小企業かどうかということが取引をするかどうかの基準になります。
いくら価格が安くても、地球環境に悪影響を与えている中小企業から仕入れたり、販売していることがわかると、大企業の信用にも傷が付くことになります。
だからこそ、中小企業の経営者は、SDGsに積極的に取り組むことを大企業にアピールすることで、少々値段が高くても、自社のSDGsに貢献できるとわかっていれば、取引を解消することはありません。
一時的に売上高が減ったとしても、他に代替する中小企業は少ないので、取引が復活する可能性が高いんです。
だから、中小企業の経営者は、自社のビジネスを見直し、SDGsの側面から自社の事業を見直してみると、どのような意味付けができるのかを文書化し、可能であれば、ホームページ等で発信することが大切になります。
値上げの根拠作成も大事なお仕事ですが、中長期的な観点から考えると、SDGsを積極的に取り組むことがより重要だと思えるようになりました。
SDGsは、後継者を中心に学ぶと事業承継に繋がります。
新しい事業を中堅・若手社員が中心に取り組めば、売り上げアップと人材育成に繋がります。
大企業にとってSDGsに貢献してくれる中小企業は欠くことができない大切なパートナーです。
値上げをするためにも、先に、大企業(取引先)があなたの会社が必要不可欠なパートナーだと思わせることが大切になります。
その一つの手段がSDGsへの取り組みです。
株式会社ジリリータジャパンは20年続く事業と組織を創ることを応援しています。
もしも、当社の取り組みに興味を持っていただけるようでしたら、https://jiririta-japan.com/csv/ からお問い合わせください。
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