【引退?それとも卒業?(No181)】

対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島清人です。

卒業のシーズンですね。

この季節は卒業生と思しき人を多く見かますね。今回のテーマは「卒業」です。


社長の“卒業式”って、いつですか?

〜息子の卒業式に出席して気づいた、事業承継の本当の意味〜

先日、息子の卒業式に出席しました。

3月のやわらかな日差し、少し緊張気味の制服姿、クラスメイト同士の最後の写真撮影。

ああ、卒業式ってこんなに温かくて、ちょっぴり寂しいものだったかと思い出しながら、私は会場の後方に座っていました。

式が終盤に差しかかり、学長の話のあと、卒業生全員で校歌を合唱。
ふと隣を見ると、同じく保護者席にいた両親がハンカチで目元をぬぐっていた。

「もう大人なんだな。手を離すときが来たんだな。」

そうつぶやいたその表情を見て、私は胸がつまりそうでした。
それは、子どもを見守る“親”としての卒業でもあり、息子にとっては“旅立ち”の時なんですね。

その瞬間、ふと頭をよぎったのが「社長にとって事業承継は『引退勧告』なのか、それとも『卒業』なのか」でした。


多くの中小企業の経営者が、事業承継のタイミングをなかなか決められないとおっしゃいます。
「まだ若いし、元気だし」「任せられるかどうか、まだわからない」――そんな気持ちもよく分かります。

でも、もし「事業承継=社長の引退勧告」だと思っているとしたら、それは少し違います。
本当は“卒業”という名の新たな役割の始まりなのです。

現役の社長という肩書きを卒業しても、その人が築き上げてきたものが消えるわけではありません。
むしろ、会社を次の世代に託すというのは、経営者としての“最終試験”とも言えます。
「自分がいなくても、ちゃんと回るようにする」――これこそが経営の完成形なのかもしれません。


卒業式では、保護者も“変化”を求められます。

「もう手を出しすぎてはいけない」
「本人が自分の力で歩き始めることを信じる」

これと同じことが、事業承継にも言えるのではないでしょうか。

後継者がまだ未熟に見えるのは当然です。かつての自分も、最初は未熟だったはずです。
でも、いまのあなたがその背中を押してあげなければ、いつまでたっても旅立てません。

「卒業式を迎える」という決意は、後継者にとっての最大のエールになります。


私が思うに、事業承継における“卒業式”は、決して「終わり」ではありません。
それは**「次のステージに進むための区切り」であり、「未来への橋渡し」**です。

卒業する生徒には、卒業証書がありますよね。
経営者には、「自分の歩みを言葉で語ること」が、その証書になるのかもしれません。

・なぜこの会社をつくったのか
・何を大切にしてきたのか
・どんな未来を期待しているのか

そうした言葉を後継者に伝えることが、何よりの「贈り物」になります。


最後に、もしあなたが経営者で、まだ事業承継のことを後回しにしているのなら――
こう自問してみてください。

「私の“卒業式”は、いつだろうか?」

それは、今日である必要はありません。でも、考え始める日にはできますよね。
そして、考え始めた日から、後継者との対話に動き出してください。

社長の卒業式は、会社を次の時代につなぐ“はじまりのセレモニー”。
それを一緒に考えることが、私たち支援者の役割でもあります。
経営者と後継者の二人だけではうまく対話できないという声も多いです。そんなときは『承継対話支援士®』に相談してみてください。驚くほど対話が進みますよ

どうか、卒業を恐れずに。

その先に、きっと新しい景色が待っていますよ。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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