後継ぎ育成アドバイザーの鹿島清人です。
『事業承継に失敗しないポイント』その10は、「最初から後継ぎに役職は与えてはいけません」です。
僕は、銀行員時代から数多くの後継者にお会いしてきました。
多くは、経営者の子どもさんか身内の方でした。
入社間もない後継者に役職を与えることって、とても多いです。
経営者からしてみると、親心なのかもしれません。
こうした後継者を特別扱いすることのリスクを認識していますか?
後継者が仮に優秀であっても、従業員からしてみると面白くないと感じるでしょう。
結果的に、後継者が従業員とうまくやっていけずに会社を去った事例をいくつも見てきました。
後継ぎは、そう遠くない将来に社長になります。
だから、急いで役職を与える必要はありません。
会社の現場や裏方の業務を経験させることで、従業員に後継ぎの人間としての魅力を従業員に知ってもらうことが大切だと思います。
その結果、従業員が後継者を支えようという気持ちになることが理想の状態といえます。
経営者の皆さんは、事業承継のプロセスにおいて多くの不安と悩みを抱えています。
特に後継者の選定、役職への早期就任、従業員との関係性構築などは、成功への道のりを複雑にしています。
経営者の方にお伝えしていることは、「後継ぎを過度に特別視しないように」ということです。
経営者と後継ぎが事業承継についてしっかりと話しをしていくことで、後継ぎの不安や不満を解消するようにもお伝えしています。
経営者の多くは、後継者を経営者としてしっかりと育成するための話をすることに抵抗を感じている方が少なくありません。
そこで、『後継ぎ育成会議』という後継者研修プログラムの提供も行っています。
事業承継は、やろうと思うまでに数年かかります。
実際に動き出してからも3~5年、後継者の独り立ちを見守る期間を考えると10年程度時間が必要です。
これだけ時間がかかる事業承継ですが、今日しなくてもいいので、後回しになりがちです。
時間がないから中途半端な形で事業承継をしてしまうと、後継者がうまく会社を切り盛りできず、短期間で会社は駄目になってしまいます。
創業者や先代が一生懸命支えてきた会社が短期間におかしくなった事例は数え切れません。
事業承継という一大イベントが悲劇の幕開けになって欲しくありません。
僕は、事業承継をお祭りのような楽しいイベントにしたいと考えています。
前年に事業承継した後継者をお神輿の上に乗せて町内を巡航するような楽しいイベントになったら嬉しくないですか。
そういった場面を子どもの頃に見たら、大人になったら事業を引継ぎたいと考える子どもが増えてくれないかと密かに期待しています。
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