【ワンマン経営の落とし穴】(No175)

対話のチカラで事業承継を支援する承継対話支援士®の鹿島です。

2月8日(土)から承継対話支援士養成講座の第1期が始まりました。

事業承継をビジネスに加えたい仲間が全国から集まってくれましたよ。

さて、事業承継でよくご相談を受けることのいつにワンマン社長の事業承継をどのように進めていけばよいか、ということがあります。

ワンマン経営とは、社長の強烈なリーダーシップが経営を支えている経営手法ですよね。

ワンマン経営者の多くは、創業者であったり、社長の在任期間が長く、人事も含めて社内の業務を掌握していることが多いです。つまり、社長が一番業務を知っているんので、反論できないといったケースが多いように感じます。

でも、人間は必ず年を取ります。いつかは経営のバトンタッチをしなければなりませんよね。

事業承継を考える場合、ワンマン経営のスタイルを例え子どもに承継する場合でも、そのまま承継すると従業員が反発し、退職者が大勢出て、業務が回らなくなったケースをいくつか見てきました。今回のブログは、ワンマン経営の悲劇を避けるための内容です。

ワンマン経営を卒業するための『経営会議』革命!社員の反発を防ぐ3つのルール


「社長が決めるのが一番早い」は本当か?

長年、社長のトップダウンで経営を続けてきた中小企業では、「社長がすべて決めるのが一番早い」「社員に任せるとまとまらない」と考えるのが一般的です。しかし、事業承継を見据えたとき、この体制のままで大丈夫でしょうか?

後継者が同じようにワンマン経営を続けると、社員はどう感じるでしょう?
「またか…」と反発が起き、モチベーションが低下することは明白です。特に、長年トップダウンで動いてきた会社では、社員が「意見を言う経験」がほとんどないため、突然「会議で決めよう」と言われても戸惑うでしょう。

では、ワンマン経営の良さを活かしながらも、社員が納得して参加できる『経営会議』を導入するにはどうすればいいのか?
ここでは、社員の反発を防ぎ、スムーズに経営会議を機能させるための 「3つのルール」 を解説します。


ルール1:まずは「決定事項の可視化」から始める

ワンマン経営を続けてきた企業では、意思決定のプロセスが「社長の頭の中だけ」にあることが多いです。そのため、社員からすると「なぜこの決定になったのか?」が分からず、不信感を持ちやすくなります。

まずは、「どんなことを、誰が、どう決めているのか」社員にも共有することから始めましょう

具体的なアクション

  • 週に1回、社長が「決定したこと」「決定の理由」を幹部に簡単に説明する場を設ける
  • ホワイトボードや共有ファイルを使い、主要な意思決定を見える化する
  • 「社員の意見を求める前に、まずは情報を開示する」ことで、会議導入の土台を作る

💡 ポイント
いきなり「全員で決めましょう!」ではなく、「決定プロセスを可視化する」ことが、社員の納得感を生む第一歩です。


ルール2:意思決定の「領域」を整理し、役員会で決めるべき範囲を明確にする

すべてを合議制にすると、決定スピードが落ちるのでは?という不安を持つ経営者も多いでしょう。そのため、「どこまでを社長が決め、どこからを経営会議で決めるのか」 を明確にすることが重要です。

具体的なアクション

  • 重要な決定事項を「3つのカテゴリー」に分類
    1. 社長が単独で決定すること(緊急対応、最終責任を負う決定など)
    2. 経営会議で決定すること(中長期の方針、新規投資、人事など)
    3. 現場に委ねること(日々の業務改善、社内ルールなど)
  • 「経営会議で決めるべき範囲」を決めることで、ワンマン経営と合議制のバランスを取る
  • 「社長が決めること」をゼロにするのではなく、適切な範囲に留める

💡 ポイント
会議の司会は後継者が務めることをオススめしています。通常の会議の場合、社長の発言は一番最後にする方がいいです。会議の議事内容を事前に案内し、会議に参加するメンバーが議題に対して事前に考えをもって参加するようになることを目指します。


ルール3:「合議制」に適応できる組織文化をつくる

ワンマン経営に慣れた社員は、「自分の意見を持つこと」に慣れていません。会議に参加しても「社長がどう思っているか」を伺うばかりで、積極的な議論が生まれにくいのが現実です。

そこで、社員が主体的に意見を出せる組織開発 が必要になります。

具体的なアクション

  • 「発言の練習」をするミーティングを設ける
    → いきなり重要な決定を委ねるのではなく、「意見を出すことに慣れる場」を作る
    → 他人の意見を否定してはいけない等、会議に参加する際のルールーを決め、社長にも従ってもらう
  • 役員会議の前に「小さな決定」を委ねる
    → 例えば、社内イベントのテーマや改善提案など、小さな議題から決める経験を積む
  • 会議の進行ルールを決める
    → 「一人最低1回は発言する」「必ず異なる視点の意見を出す」など、発言を促すルールを設定

💡 ポイント
いきなり「役員会で議論してください!」と言われても、社員はどうすればいいか分かりません。まずは「発言しても大丈夫なんだ」と感じることが大切です。


ワンマン経営の良さを活かしつつ、持続可能な経営体制へ

ワンマン経営には、「スピーディーな意思決定」「社長の強いリーダーシップ」というメリットがあります。しかし、それを後継者がそのまま引き継ぐと、組織が疲弊し、社員の反発を招きやすくなります。

そのために必要なのは、「経営会議」をスムーズに機能させる仕組み作り です。

導入のステップ

  1. まずは決定プロセスを可視化する
  2. 何を経営会議で決めるのか明確にする
  3. 社員が議論に参加しやすい組織文化を育てる

この3つのルールを実践すれば、ワンマン経営の良さを残しつつ、合議制の強みを活かした経営が実現できます。

「ウチの会社でもできるかも?」と思ったら、ぜひ最初の一歩として、「決定事項の可視化」 から始めてみてください。

後継者が安心して経営を引き継ぎ、社員も納得できる会社を一緒に作っていきましょう!

合議制を導入するためには、上記以外にも、経営層や役職者の研修を行うとか、求められる人材の要件を明確にして評価制度を導入・見直しするなど多岐にわたる準備が必要となります。

そのためにも、事業承継計画書などを早めに作成し、専門家の力も借りながら、合議制の導入を目指しましょう!

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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