こんにちは。志経営アドバイザーで、株式会社ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
4月の途中から断片的に報道される新聞記事を読んでいると、日本の官僚が国民に不都合な事実を必死で隠そうとしているように感じました。
日本経済新聞の記事を基に個人的に感じたことですので、違うご意見をお持ちになる方もいらっしゃるとは思いますが、ご容赦願います。
私が気になった記事の見出しと、記事の要約は次のものです。
(引用先: https://www.nikkei.com/ )
4月10日 技能実習の廃止提言へ 外国人材確保に転換
外国人の日本での労働のあり方を検討する政府の有識者会議は10日、いまの技能実習制度の廃止を求める提言の試案をまとめました。
途上国への技術移転という目的と実態が乖離(かいり)していると強調し、新制度の創設を訴えたそうです。
4月25日 「特定技能」長期就労が全分野で可能に 熟練外国人、6月にも 食品製造や外食など
人手不足対策として2019年に創設した在留資格「特定技能」について、長期就労が可能な業種を6月にも現在の3分野から全12分野に拡大する方向で関係省庁が調整に入るそうです。
24日の自民党の外国人労働者等特別委員会で、特定技能の長期就労分野の拡大を求める各省庁の要望を出入国在留管理庁が伝えました。
政府・与党が検討して6月の閣議決定を目指すとのことです。
省令改正などを進め、資格取得などの運用開始は24年5月ごろになる見通しです。
4月26日 人手3割減でも成り立つ社会に 「将来推計人口」公表
日本の総人口が1億人を割り込む時期は2056年となり、前回推計に比べて3年遅くなるそうです。
これは、外国人の入国超過が長期的に年16.4万人のペースで続く仮定を置いた影響が大きいからです。
前回調査(年6.9万人)の倍以上になっています。
確かに2015年末に223万人だった在留外国人数は22年6月時点で296万人と約3割も増えています。
ただ中国や韓国など少子化が深刻な国が増え、今後の人材獲得競争は一段と激しくなることが予想されます。
4月27日 人口減で縮む国力 将来推計人口、生産性向上が急務
2070年の総人口は現在のおよそ1億2600万人から3割減の8700万人に減る見通しです。
2017年の前回推計と比べ、人口の1億人割れの時期は3年遅くなるらしいです。
外国人の入国超過数について16~19年の平均値をとって、前回の年7万人から16万人に増えると見積もったためとのことです。
日本人だけの人口でみると1億人を割る時期は2048年へと1年早まるそうです。
全体の人口減のスピードはわずかに緩むものの、外国人が下支えする構図が鮮明となりました。
2070年には日本の9人に1人が外国人となるそうです。
何気なく新聞記事やテレビのニュースを見聞きしているとわかりにくいですが、上記の記事の背後には年金の支給という問題が見え隠れしています。
厚生労働省なり政府の意図を感じてします理由は、3つあります。
①記事がリークされる順番
②関連しているとわかりにくい記事に分割していること
③本当の問題である年金の制度改革を避けたいということは一切触れられていないことです。
2004年の小泉内閣の時に『年金100年安心プラン』と銘打ち年金制度の改革が行われました。
100年先までの日本の人口構成の変化を出し、当時5年分程度あった年金積立金を100年先に1年分だけ残し、残りは後の世代のために取り崩しても年金制度を守っていけるというものでした。
『年金100年安心プラン』とはどんなものだったかご存知ない方も多いと思います。
簡単にいうと、「今後100年間は、現役世代の収入の50%を保証する」ということです。
そのために2017年まで国民年金と厚生年金の掛け金を段階的に引上げるという説明でした。
当時から年金資産の運用利回りを4.1%と実際の利回りよりもかなり高く想定していることや、女性や高齢者の労働力率を大幅に高める労働市場改革が成功することが前提になっています。
厚生労働省は大きな声ではいいませんが、50%という年金額は国民年金を40年間掛け、奥さんは専業主婦というモデル世帯を想定しています。
夫婦二人の年金額の合計が現役世代の50%としています。
離婚したり、夫婦のどちらかが亡くなったりすると、実際には現役世代の収入の30%程度しか支給されません。
将来日本人だけでは年金の掛け金が足りなくなることが目に見えています。
日本人の収める年金保険料でたりないので、外国人労働者を増やし、外国人労働者に厚生年金や国民年金の掛け金を払わせようと厚生労働省は考えているようです。
コロナ前なら円という通貨が強かったので、外国人労働者も日本で働くと現地通貨に換算した時にはそれなりの収入になるので、日本で働くインセンティブがありました。
でも、長きに亘り経済が低迷し諸外国に比べて成長できていないので給与を上げることが難しいです(特に中小企業では)。
加えて、円安が進んでいるので、コロナ前と同じ給与を日本円で支払っても、外国人労働者の現地通貨に換算した時の金額は相当目減りします。
他の国に働きに行った方が給与が高くなる訳です。
そんな状況で、コロナ前よりも多くの外国人労働者が日本に働きにくるのかと考えると、正直、疑問です。
厚生労働省は年金の支給見込額が50%を下回ると、年金制度の抜本的な見直しをしなければなりません。
今、年金を見直すと、確実に50%以下になるといわれています。
自民党や公明党がそんな政治リスクを犯してまで国民に事実を伝えるとは思えません。
そこで、官僚はできもしない前提を置きまくって年金制度を維持しようとします。
いよいよ誤摩化せなくなった時に政治家と官僚を務めている人がババ抜きで言うババを引くのでしょうね。
来年にかけて、小出しに、しかも、バラバラと年金に関するニュースがでてくると思います。
わたしたちはニュースをバラバラに捉えるのではなく、俯瞰してみる目を養う必要がありますね。
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