【七五三に学ぶ“事業のバトンの渡し方”(No216)】

対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
11月になると七五三を祝う親子連れや、三世代の姿をちょくちょく見ます。
十数年前に神社に行ったことを思い出しました。


**七五三に学ぶ“バトンの渡し方”。

会社も子どもも“育てて祝う”から強くなる。**

秋の神社を歩くと、晴れ着を着た子どもたちの姿を見ます。
七五三は、子どもの無事な成長を見守り、「ここまでよく育ったな」と家族みんなで祝う大切な行事です。

実はこの“節目を祝う文化”は、事業承継の進め方にも驚くほどよく似ています。
会社も人と同じように、節目を設け、未来の担い手の成長を確認しながらバトンを渡していくほうが、承継は圧倒的にスムーズに進みます。

しかし現実には、多くの経営者が「後継者と会社の将来について十分に話せていない」と答えています。
この状況を受けて、最近では地域金融機関が事業承継支援へ本格的に動き出すケースが増えています。
それほど“対話不足による先送り”が、全国的な経営課題になっているのです。


■ 七五三の本質は「節目づくり」。会社にも“ハレの対話日”を

七五三が大事にされてきた理由は、
子どもの成長を祝うと同時に、「これからも健やかに育ってほしい」という願いを家族で共有する場だから。

同じように、会社にも
「これまで」「いま」「これから」を話す節目の場が必要です。

ただ、日常は忙しく、気づけば話す機会がないまま時間が過ぎてしまいます。
だからこそ私は提案しています。

✔ 年に1回、「ハレの対話日」をつくりませんか?

七五三のように季節を区切って、
“会社の未来を語る日”を決めてしまうのです。

特別な準備はいりません。
必要なのは、「今日は未来の話をする日」という小さな儀式だけ。


■ 話すべきテーマは、たったの3つでいい

難しい専門用語も、細かな手続きの話も不要です。
初回の対話では、次の3つだけ話せれば十分です。

① 経営者が大切にしてきた価値観

「どんな思いで会社を守ってきたのか」

② 会社の未来をどうしたいか

「10年後、どんな姿であってほしいのか」

③ 後継者が感じていること

「自分はどこまで関わりたいのか、何を不安に思っているのか」

この3つの対話ができた瞬間、
事業承継は“作業”から“未来づくり”へと形が変わります。


■ 金融機関が“対話支援”に本腰を入れ始めた理由

今、多くの地方銀行・信用金庫が、後継者不在のアンケート結果を受けて事業承継支援へ力を入れ始めています。

理由は明確です。

事業承継を先送りすると、顧客企業が減り、地元経済が衰退する。

その構造を、金融機関自身がはっきりと理解したからです。

中小企業の廃業の多くは“赤字倒産”ではありません。
実際は“後継者不在による自主廃業”が大半を占めています。
この流れが続けば、雇用も取引も地域経済も、金融機関の経営基盤も弱くなってしまう。

だからこそ金融機関は、
株移転や書類の支援だけではなく、
「経営者と後継者が対話を始めるためのサポート」へ大きく舵を切り始めているのです。


■ 明日からできる“未来につながる3つの小さな一歩”

大切なのは、難しい計画よりも「最初の一歩」。
今日からできる行動を3つ紹介します。

◎ ① 後継者と1時間だけ未来の話をする

テーマは一つ。「この会社をどうしたい?」
お互いに紙に書いて交換するだけで十分です。

◎ ② 商工会・金融機関の担当者に“聞き役”をお願いする

第三者が入ると、親子の対話は驚くほどスムーズになります。

◎ ③ 10年後の「社長の卒業式」を描いてみる

引き継ぐ時期や役割が自然と整理されていきます。


■ 事業承継を“格好いいこと”に。

七五三のように、節目を祝い、未来を祈り、成長を喜ぶ文化がある会社は、とても強い。
事業承継とは、
「未来を託す勇気」と「次の世代を育てる誇り」そのものです。

今年の七五三をきっかけに、
どうか“会社の未来を祝い、語る日”をつくってみてください。

それが、あなたの会社にとっての新しい一歩になるはずです。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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