対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
今年の8月は、父親の初盆(関東では、新盆といいますね)を迎えます。
それと、息子が就職後、初めて帰省してきました。
離れて住んでいると尚更ですが、ゆっくりと顔を見て話をする機会って少ないですよね。
そこで、こんなブログを書いてみました。
思い出話から始める事業承継—お盆だからできる“やさしい対話”
お盆になると、普段は別々に暮らしている家族が実家に集まります。久しぶりに顔を合わせ、食卓を囲み、昔話に花が咲く——そんな温かい時間は、何にも代えがたいものです。
実はこの「昔話をする時間」、事業承継のきっかけ作りにも、とても役立つのです。
「事業承継の話」は、なぜ後回しになるのか
会社を経営している親世代にとって、事業承継はとても大切な課題です。けれども、緊急性がないため、つい後回しにされがちです。「まだ元気だから」「もう少し先でも大丈夫」という思いから、気づけば何年も経ってしまうこともあります。
一方、後継者候補の子ども世代も、忙しい日々の中で、あらたまって親に「会社の将来」の話を切り出すのは、少し気が重いものです。
思い出話から始めれば、自然に未来の話へ
そこでおすすめしたいのが、「思い出話から始める方法」です。
いきなり「会社を継ぐかどうか」や「株式や資産の話」をすると、どうしても重くなります。ですが、たとえばこんな話題からなら、気軽に会話が始まります。
・創業時の苦労話(初めてのお客様との出会いなど)
・家族が手伝ったエピソード(夏休みに商品を梱包した思い出など)
・最も嬉しかった仕事の瞬間(契約が決まった日、表彰された日)
こうした話は、親の歩んできた道や大切にしてきた価値観を自然に伝えてくれます。そしてその流れで、「これから会社をどうしていきたいか」や「将来を誰に託したいか」という話題に移りやすくなります。
支援者の役割は「話を引き出すこと」
税理士や中小企業診断士、保険営業、銀行員など、経営者と日常的に接する支援者の方も、この方法を覚えておくと役立ちます。専門知識がなくても、「あの時の話を聞かせてください」と問いかけるだけで、経営者は自然と自分の歩みを語り始めます。
そして、「その経験を、次の世代にも伝えていきたいですね」と一言添えることで、事業承継の話の入口ができます。
お盆だからこそできる、やさしい対話の場づくり
お盆は、仕事の緊張感から少し離れた、やわらかな時間が流れます。この雰囲気を活かすために、次のような工夫をしてみましょう。
1.お茶や食事の後に話す
リラックスした状態の方が会話がスムーズです。
2.昔の写真や記念品を用意する
思い出話のきっかけになり、会話が広がります。
3.話す時間を短く区切る
長くなると疲れてしまうので、10〜15分でもOKです。
こうした小さな工夫で、会話はぐっと前向きになります。
後悔しないために、今できること
私がこれまで関わった多くの経営者が、「もっと元気なうちに話しておけばよかった」と口にします。お盆の帰省は、未来のための贈り物を作る時間でもあります。
思い出話から始まった小さな会話が、やがて大きな安心につながります。事業承継は、一度の話し合いで終わるものではありません。何度も少しずつ、やさしい対話を積み重ねていくことが大切です。
今年のお盆は、家族と笑い合いながら、少しだけ未来の話をしてみませんか?
きっと、その一歩が、会社と家族の未来を明るく照らすはずです。
支援者コラム:専門知識より「対話のきっかけ」がカギ
事業承継の支援というと、「税務の知識」や「法務の知識」がないと動けない、と感じる支援者は少なくありません。もちろん専門知識は重要ですが、最初の一歩は“対話のきっかけ”をつくることです。
・「創業時の一番大変だったことは何ですか?」
・「一番嬉しかった瞬間はどんな時でしたか?」
・「この会社で大事にしてきたことは何ですか?」
こうした質問は、専門用語も不要で、誰でも聞けます。
そして、この対話が経営者の心を動かし、「次の世代にどう伝えるか」という流れを自然に作ります。
お盆や正月など、家族が集まるタイミングを「対話のきっかけ」として提案できる支援者は、経営者にとって非常にありがたい存在です。専門知識は後から加えられますが、このきっかけづくりは今からでも始められます。
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