事業承継に失敗しないための5つ目のポイントは、『従業員と「対話」をする』です。
経営を次世代にバトンタッチすることは、企業にとって数十年に一度の一大イベントです。
特に、60代から70代の後継者が直面する問題は、単に事業の継承以上のものです。
これは、経営の理念を如何にして次世代に伝え、継続させていくかに関わる深い課題です。
今回は、事業承継を成功に導く鍵となる「従業員との対話」の重要性に焦点を当てます。
対話と会話
「対話」と「会話」の違いを理解することから始めましょう。
会話は、日常の挨拶や情報交換に過ぎませんが、対話は深い意味合いを持ちます。
対話は、相互の経験や価値観を共有し、新たな理解や知識を生み出す過程です。
このプロセスを通じて、従業員との間に信頼と理解を築き上げることができます。
成功事例の紹介
福祉施設の理事長が実践した「対話」の重要性を示す具体例を紹介します。
障がい者の子どもを預かる施設を運営しているのですが、事業を始めた当初は従業員が身も心も疲れ果て退職するといったことが続いたそうです。
高い志をもって入ってきた従業員が辞めていくのは理由を訊いていくうちに分かったことは、仕事が嫌になった訳ではなく、従業員がみんな忙しく働いており、相談や連絡などコミュニケーションが取れないことから、精神的に追い込まれていると感じるようになり、止む無く退職するということだったそうです。
そこで、1日2回始業と終業の際に15分ずつミーティングをする時間を設けたそうです。事務連絡は始業時に済ませ、終業時には今日あった嬉しかったことや、困ったことを共有するようにしたそうです。
トップ自らが保護者やスタッフとの対話を重視し、開かれたコミュニケーションを促すことで、相談しやすい環境を構築できるようになりました。
今では、離職率はほぼゼロになったそうです。
このような対話の文化は、従業員間の信頼と協力の基盤を築き、結果として組織全体の強化に繋がります。
対話を促進する方法
朝礼やミーティングを活用し、従業員が自らの経験や人柄を共有する機会を設けることが重要です。これにより、従業員間の相互理解が深まり、チームとしての結束力が高まります。また、対話を通じて築かれた信頼関係は、採用や従業員の定着率にもポジティブな影響を及ぼします。
採用と定着率の改善
対話を重視する職場は、働きやすく、従業員の満足度が高いため、新規採用や従業員の定着に大きなメリットをもたらします。
元気な中小企業が採り上げられている書籍などを読んでいると、従業員同士がよく話をしているという共通点があると感じています。決して無駄なおしゃべりをしているということではありません。従業員同士がお互いを知るための時間を意図的に設けることで、周りのことを理解しているから相談できたり、リスクを早期に発見できるようになります。
また、こうしたコミュニケーションがしっかりと取れている企業は採用する費用がほとんど発生しないことから、利益率が高い傾向にあります。
さらには従業員の待遇改善に繋がる好循環を生み出すことができます。
事業承継は単に経営の技術や資産を次世代に引き継ぐことではありません。
組織文化、価値観、そして人々との深い結びつきを継承することも含まれます。
従業員との対話を深めることで、不確実性の時代を乗り越え、事業の持続可能な成長を実現できるのです。
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