介護福祉事業 支援人材養成講座を受講してみました(続き)

こんにちは、志経営アドバイザーで、株式会社ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。

前回のブログで9月に介護福祉事業の支援人材養成講座を受講したことを書きましたが、とても1回で書ききれる内容ではなかったので続編を書きます。

介護保険制度は、3年に1度法改正・報酬改定を繰り返しながら、2040年に向けて、今後さらに制度の改革が進むと言われています。

介護保険の制度改革のポイントは下記の点に集約されます。

①基本報酬を下げ、加算を増額

介護報酬の構造は、ほぼ全てのサービス種別で基本報酬を下げながら加算割合を増やす方向にあります。

国のねらいは、介護報酬の適正化(絞り込み)の側面と、サービス内容の進化を誘導することです。

しかし、介護事業者にとっては加算算定される項目にきちんと対応できないと収入が減少していくことになります。

②軽度者を切り離しながら、中重度者に特化

1~2の要支援者の人は既に介護保険から地域総合事業に移管され、介護報酬の大幅な削減と同時に、施設基準や人員基準の大幅緩和が行われました。

今後、要介護1~2の軽度者に対しても、通所介護や訪問介護サービスから切り離して総合事業化することが検討されており、実行される可能性が高いと言われています。

③エビデンスのある介護、結果を評価する報酬体系に

介護保険は実に不思議な制度です。医療保険と違い介護保険は、健康で長生きしようと努力し、きちんと結果を出している高齢者は利用できません。

また、自分の意志で自由に利用できません。

なぜなら、介護保険を利用するにはケアマネージャーによる介護プランの作成が必要だからです。

介護を利用したい本人の状態によってサービス利用の上限額が決まっており、余程お金に余裕がないと希望するサービスを受けることができません。

しかも、かなり高額な保険料になると言われています。

加えて、サービス利用の上限額の決定はご家族や周辺のひとの介護力と無関係に行われます。

一方、介護事業者の立場から見ると、頑張って良い介護をし、患者の介護度が改善すると報酬が下がってしまうのです。

逆に言うと、介護の質を下げ、介護の度合いをどんどん悪化させる方が介護報酬が増えるということです。

介護事業者の努力がまったく報われない制度と言えます。

こうした矛盾点を解消するには、事業者の取り組みを評価する報酬体系への変更が求められます。

医療保険制度と同じように、どのような治療やサービスを提供し、その結果がどうなったかを示すエビデンス(確証)に基づいた報酬体系にすることが必要に思えます。

今の報酬体系を前提にすると、介護サービスの現場は相変わらず、「楽しく過ごす場所」を提供することに留まり、本来の健康で長生きをするためのサポートをするという目的が果たせなくなる気がします。

④月額包括報酬制へ

在宅生活者はケアマネージャーが立案したケアプランに基づいて1週間のサービスプログラムを組み立てられ、サービスが提供されています。

しかし、サービスを利用する高齢者の体調は1週間毎に変化する訳ではありません。

つまり、利用者のニーズは都度変わるので、求めるサービスも変わります。

そのため、事業者は複数のサービスを提供できる体制を整備することが求められます。

国は、小規模多機能、看護小規模機能、定期巡回随時対応型訪問介護看護、などの月額包括報酬のサービスの普及を図るため政策的に優遇しています。

国のねらいは、ひとつひとつのサービスに対し報酬を支払うよりも、月額いくらと上限を決める方が結果的に介護保険の支払額を減らすことができることだと言われています。

⑤AIやICTの導入、ビッグデータの活用

センサーを活用するセンシング機器などのAI活用は、既に介護の現場で導入されつつあります。

特に入居施設ではセンサーを活用して入所者の異常を早期発見に繋がり、事業者の業務負荷を軽減することに貢献しています。

またICT機器の導入も今後進むと予想され、事務面の効率化・自動化が期待されます。

こうした機器の導入を普及させるために報酬面のインセンティブ付与や、人員配置基準の緩和が行われる等の優遇措置が検討されると言われています。

⑥法人規模の大規模化誘導

介護報酬の効率化と併せて、きめ細かな地域のニーズを実現するためには小規模な事業者では対応が難しくなると予想されています。

「地域共生社会」の実現に向けて、地域の介護事業者が集まり、あたかも一つの法人のように連携する仕組みづくりが求められています。

⑦介護保険の皆保険化

2040年に向けて、介護保険の加入年齢が現在の40歳以上から30歳以上、20歳以上と順次引き下げられ、皆保険化することで財源を捻出し、障害福祉事業と統合する方向だと言われています。

介護事業は少額の資本でも参入できる事業なので、新規参入が多い業界です。

その一方で、利用者の確保ができなかったり、低介護度の利用者をターゲットにすることで低収益に苦しんでいる事業者もたくさん存在します。

3年毎に介護保険の制度が変わる中で生き残るためには社外の専門家の活用機会も増えると予想されます。

現在、介護事業の支援をしたいと思っている仲間15名と一緒に介護事業者の支援を行っているコンサルタントの指導を定期的に受けています。

さらに支援のノウハウを吸収して、頑張る介護福祉事業者の力になれたらいいなぁと思っています。

後継ぎ育成アドバイザー 鹿島清人

後継ぎ育成アドバイザー 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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