【秋祭りと運動会(No211)】

対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
台風の被害が心配ですね。

秋祭りと運動会──チームで担ぐ承継という考え方

10月になると、地域では秋祭りの太鼓が鳴り、学校では運動会の声援が響きます。
この季節は、協力と継承の象徴です。
神輿を担ぐ人たち、バトンをつなぐ子どもたちの姿には、事業承継の本質が隠れています。

■ 神輿はひとりでは担げない

秋祭りの神輿を見ていると、若者たちが掛け声を合わせ、重い神輿を担いでいます。
しかしその背後には、必ず年長者の声がある。
「右へ寄れ!」「足を合わせろ!」――その声があるから、神輿は倒れずに進むのです。

会社も同じ。
創業者や現社長が方向を示し、若手が力を合わせて前に進む。
その連携が崩れると、どんなに勢いがあっても経営は不安定になります。
事業承継とは、経営の神輿を世代で担ぐ共同作業なのです。

■ バトンを渡す「運動会型の承継」

運動会のリレーを思い出してください。
バトンを落とさないためには、渡す側と受け取る側の信頼が必要です。
早すぎても遅すぎても、うまくつながりません。
経営の承継も同じです。

「まだ早い」と思っていたら体調を崩したり、
「まだ無理だ」と思っていた後継者が急に責任を負うこともあります。
承継は“いつか”ではなく、“少しずつ”が理想です。
10月のように季節が静かに移り変わるように、経営のバトンも自然に渡していくことが大切です。

■ 女性が担ぐ新しい神輿

近年、女性の後継者や経営者も増えてきました。
昔は「息子に継がせたい」と考える社長が多かったものの、
今では「娘が一番頼りになる」「妻が支えてきたから安心して任せられる」という声も増えています。

女性が経営に関わることで、会社の雰囲気が柔らかくなり、社員の声が届きやすくなるケースも多いです。
たとえば、家庭的な気づきから働き方改革を進めたり、地域との協働イベントを積極的に企画したり。
それは、まさに“祭りを包み込む”ような優しい経営スタイルです。

■ 女性経営者を増やすために

では、どうすれば女性経営者が増えるでしょうか。
まず大切なのは「小さな成功体験」を積める場づくりです。
たとえば、家族会議や朝礼で娘や女性社員に司会を任せる。
経営方針発表会に女性幹部を登壇させる。
地域の商工会議所や金融機関は、「女性承継者応援セミナー」や「女性経営者ネットワーク」を設けて、
安心して相談できる環境をつくることが効果的です。

さらに、税理士や中小企業診断士などの専門家も、
「家族信託」や「株式の承継」だけでなく、“女性がリーダーになった時の支援”に目を向けることが求められます。
制度や法律は中立でも、社会の意識が変わらなければ、女性の挑戦は続きません。
だからこそ、支援者一人ひとりが“女性の可能性を応援する声”をあげることが大切です。

■ 承継は、チームで担ぐ祭りのように

秋祭りでは、若者も女性も、年長者も一緒に神輿を担ぎます。
会社もそうあってほしい。
男性も女性も、世代を超えて「うちの会社を守りたい」と思えるチームづくりこそ、
これからの日本に必要な承継の姿です。

この10月、あなたの会社でも“小さな承継の練習”を始めてみませんか。
バトンを受け取るのは、もしかしたら息子でも、娘でも、社員の中の“未来のリーダー”かもしれません。
その一歩が、地域の未来を照らす光になります。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

関連キーワード

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せはこちら

(月 - 金 9:00 - 18:00)カスタマーサポート