対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
令和7年(2025年)も終わろうとしていますね。
皆さんにとってこの1年はどんな1年でしたか。
先日の12月19日に自由民主党、日本維新の会から「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。
経営者の皆さんに影響がありあそうなことがいくつも盛り込まれています。
✅ 1. 特例承継計画の提出期限延長
令和8年度の税制改正大綱では、事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予)の適用に必要な「特例承継計画」の提出期限を延長する措置が盛り込まれました。
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法人版(特例承継計画):令和9年(2027年)9月30日まで延長
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個人版(個人事業承継計画):令和10年(2028年)9月30日まで延長
→ 承継対話の時間的余裕が生まれ、家族でじっくり話し合える機会の増加につながります。
✅ 2. 中小企業の世代交代の円滑化を重視
税制全体のポリシーとして、中小企業の承継を円滑に進め、生産性向上と成長支援を図る観点が示されています。
これは、制度的な後押しが強化される方向性を意味し、経営者・後継者が将来を話すきっかけ作りに役立ちます。
✅ 3. 貸付用不動産の相続税評価見直し
改正大綱では、相続開始・贈与前5年以内に有償で取得した貸付用不動産の評価が実勢価格に近い形に見直される方向が示されており、これが相続税負担に影響します。
現行は、路線価等による評価 ⇒ 見直し後は、通常の取引価額での評価となります。
→ 事業承継で不動産を有する社長・後継者が「税負担の見える化」を話題にする場面が増えます。
✅ 4. 納税猶予の特例制度(贈与・相続)継続性
従来の事業承継税制は、非上場株式等に対する贈与税・相続税の100%猶予が可能な特例措置として設けられていましたが、改正大綱でもこの制度自体は継続される方針が示されています。
→ 株式承継の話題を家族会議で扱う重要性が高まります。
※事業承継税制の特例の期限は延長されていません。
✅ 5. 税制改正の方向性:公平性の強化
資産税全般において、評価や特例措置の公平性を重視する動きが示されています。
・NISAの拡充
・教育資金の一括贈与の非課税措置の終了(令和8年3月31日期限)
・賃上げ促進税制の見直し
→ 「どんな評価方法が妥当か」「どう家族で役割分担すべきか」など、企業価値と税負担の関係を家族で整理する機会が生まれます。
✨ 事業承継対話のヒントになる改正ポイント
以下のように、税制改正の具体点を「対話のきっかけ」に変えることができます:
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提出期限延長:「まだ時間がある」と思う前に家族で未来設計を始める口実に。
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納税猶予制度の仕組みを噛み砕いて話題化し、承継の計画と安心感を共有。
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不動産評価の見直しをきっかけに「この資産はどう活かすか」を議論。
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公平性強化の方向性を踏まえ、「家族としてどう守るか」の価値観対話へ。
税制の変更は、事業承継や相続・贈与にさまざまな影響を与えます。
しかし、忘れてはいけないこととして、『事業承継は節税対策ではない』ということです。
事業承継は、事業を次の世代に【ヒト・モノ・カネ・知的資産等】をバトンタッチすることです。
最も大切なことは、『経営者と後継者が対話する』ことを繰り返し行うことですよ。
令和8年(2026年)もいい年にしたいですね。
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