【承継対話としての1on1(No213)】

対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。
先日、とある取材を受けたのですが、1on1ミーティングに関するものでした。

そこで、今回のトピックは1on1を採り上げました。

🏁 【Ⅰ. 導入の考え方】―「承継対話」としての1on1ミーティング―

1️⃣ 目的を明確にする

1on1の目的は「成果管理」ではなく、関係性の深化と想いの共有です。
事業承継では特に、

  • 経営者の価値観・判断基準の伝承

  • 後継者の不安や疑問の共有

  • 世代間の信頼関係構築
    が大きなテーマになります。


2️⃣ 実施対象を広げる

事業承継における1on1の対象は、

  • 「現経営者 ↔ 後継者」

  • 「後継者 ↔ 幹部」

  • 「幹部 ↔ 若手社員」
    など、多層的な“承継ライン”で行うと効果的です。
    これは“バトンリレー”の滑らかさを高める仕組みになります。


3️⃣ 対話テーマを「承継3層」で整理する

1on1のテーマを以下の3つに整理しておくと、承継の進捗が見える化します。

対話テーマ 目的
経営層(理念) 経営者の想い、経営哲学、判断基準 「何を大切にして経営してきたか」を伝える
組織層(仕組み) 人材育成・業務承継・意思決定の流れ 実務を通して“暗黙知”を共有
個人層(関係) 不安・期待・キャリアの希望 心理的安全性とモチベーションを高める

4️⃣ 定着のコツ

  • 最初は月1回30分以内とする。

  • 評価や指導の場にしない。

  • 対話内容は口外せず、信頼を守る。

  • 「話を聴く」ことに徹する。


✅ 【Ⅱ. 事業承継に活かす 1on1チェックリスト(全10項目)】

No チェック項目 内容のポイント
目的を共有している 「次世代への承継対話の場」として認識されているか。
安心して話せる環境を整えた 評価や上下関係を意識せず、率直に話せる雰囲気を作ったか。
前回の会話を覚えている 小さな約束や話題を覚えておくことで、信頼が積み上がる。
経営者の価値観を言語化できた 「なぜこの判断をしたのか」「何を守りたいのか」を説明できたか。
後継者の考え・感じていることを聴けた 意見・不安・提案など、評価せずに聴く時間を取れたか。
“過去”と“未来”を行き来する対話ができた 「これまで」と「これから」の両方をつなぐ質問をしたか。
行動につながる一歩を一緒に決めた 「次にやってみること」を本人の言葉で引き出せたか。
対話内容を簡単に記録・共有した 継続的な対話のためにメモやログを残したか。
関係性の変化を感じ取れた 信頼・理解・安心が前回より深まったと感じられたか。
対話の質を自己点検した 「自分は聴けていたか」「承認できていたか」を振り返ったか。

💬 承継対話に使える質問例

シーン 質問例
経営者→後継者 「これからの会社で、何を一番大事にしたい?」
後継者→経営者 「これまでで一番、経営が苦しかった時はどんな時でしたか?」
幹部→後継者 「今後の方向性で、あなたが大切にしたい価値は?」
後継者→社員 「一緒に働いていて、もっと良くできそうなことは?」

🌱 まとめ:1on1は「承継の道具」ではなく「承継の文化」

事業承継は「仕組み」よりも「信頼の継承」です。
1on1を通じて“数字ではなく、想いが伝わる関係性”を築くことが、
結果としてスムーズな経営交代と組織の安定につながります。


お楽しみいただけましたか。

次回もお楽しみください。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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