【縄文の村と棟方志功に学ぶ「事業承継の本質」(No208)】

対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。

久しぶりの家族旅行に行きました。そこで、感じたことをブログにしてみました。

縄文の村と棟方志功に学ぶ「事業承継の本質」

青森の三内丸山遺跡や棟方志功の作品に触れると、人々が大切にしてきた“受け継ぐ力”を感じます。縄文人が技術を次世代に伝え、志功が作品に魂を残したように、私たち中小企業の経営者も会社という“作品”を未来へ渡す役割を担っています。今回は、遺跡と美術から見える事業承継のヒントを探ってみましょう。


縄文の村にあった“役割の承継”

青森県の三内丸山遺跡を訪れると、約5,000年前に人々がどのように暮らしていたかを想像できます。大型の竪穴住居や栗の森、漆を塗った器、土偶。そこには確かに「暮らしを次につなげる工夫」がありました。

当時は「会社」という形はなくても、狩りや漁、土器づくりや布の製作といった役割があり、それを次の世代に伝えなければ村は成り立ちません。父から子へ、師匠から弟子へ。経験や技術は言葉や実演を通じて受け継がれたはずです。もし承継がうまくいかなければ、村の暮らしは途絶えてしまったでしょう。

会社もまた“共同体”である

現代の中小企業も同じです。会社は経営者一代で終わるものではなく、地域や社員、取引先とともに築いてきた「共同体」です。そこで重要になるのが事業承継です。

しかし多くの経営者は「まだ先でいい」と考えがちです。けれども、承継は一朝一夕ではできません。縄文人が日々の暮らしの中で役割を伝えていたように、会社の知恵や技術も日常の中で次世代へ伝える必要があるのです。

棟方志功の作品が語る“想いの継承”

一方、青森が誇る板画家・棟方志功の作品を観ると、「承継の難しさ」についても考えさせられます。志功は「わだばゴッホになる!」と叫び、己の信念を作品に刻み続けました。彼の板画は今も美術館で鑑賞できます。

しかし、作品が残っていても、志功が込めた思いや情熱をすべて正確に理解するのは簡単ではありません。これは企業にも似ています。会社は数字や製品だけで成り立っているわけではなく、創業者の想い、経営者の理念、社員との信頼関係といった“目に見えない財産”をどう伝えるかが課題になります。

想いを言葉にして残す大切さ

だからこそ、経営者が元気なうちに、自分の想いや理念を「言葉にする」ことが大切です。

  • 社史や経営理念集を作る

  • 社員や家族との対話で繰り返し語る

  • 後継者にエピソードを伝える

縄文人が技術を手渡しで伝えたように、志功が作品に魂を込めたように、経営者も日々の言動で理念を伝え続ける必要があります。

事業承継は“所有”ではなく“想い”の継承

事業承継は単なる「所有権の移転」ではなく、「想いの継承」です。もちろん税務や法務の準備も欠かせませんが、それだけでは不十分です。

後継者にとって本当に力になるのは、「なぜこの会社を続けるのか」という意味づけです。理念が共有されていれば、後継者は経営の苦しい局面でも踏ん張ることができます。逆に理念が伝わっていなければ、どんなに技術や資産を引き継いでも、途中で会社の軸がぶれてしまうかもしれません。

今すぐできる“小さな承継”

経営者の皆さんにおすすめしたいのは、「小さな承継を今から始める」ことです。例えば、

  • 毎月の会議で創業時のエピソードを語る

  • 後継者に大事な取引先を紹介する

  • 家族旅行の場で将来の夢を語り合う

これらはすぐに実践できる承継の第一歩です。

まとめ:縄文の知恵と志功の魂を未来へ

三内丸山遺跡は、縄文の人々が暮らしを守り、次世代へ受け継いできた証です。棟方志功の作品は、ひとりの芸術家が魂を込めた証です。

私たち中小企業の経営者もまた、会社という“作品”を未来へ渡す使命を持っています。知識や技術だけでなく、理念や想いを言葉にして伝える努力が欠かせません。承継は先延ばしにするものではなく、今この瞬間から始められる営みです。

あなたの会社の“縄文の知恵”と“志功の魂”を、次の世代にしっかりとバトンとして渡していきましょう。

いかがでしたか、親から子へ、先輩から後輩へ、バトンの渡し手と受け手はさまざまですが、思いを託すためには、渡し手と受け手のコミュニケーションが大切なことは今も昔も同じなんですね。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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