【事業承継は経営者が譲るものなのでしょうか(No203)】

対話のチカラで事業承継を支援する『承継対話支援士®』の鹿島です。

毎月、事業承継の仲間とディスカッションする場を設けています。
その中で、とてもおもしろい観点から事業承継を支援している仲間がいました。

「社長を引き継ぐ」って、どういうこと?~一緒に経営する”から始めよう~

「お前にこの会社を継いでほしい」
ある日、突然お父さんからこう言われたら、あなたならどう思いますか?

「えっ、そんな急に言われても…」
「正直、まだ自信がない」
「そもそも継ぐなんて、考えたこともなかった」

こんなふうに感じる若い後継者は、決して少なくありません。そして、伝える親のほうも、なかなか言い出せずに悩んでいたりします。

でも、ちょっと視点を変えてみましょう。
「いきなり引き継ぐ」のではなく、「一緒にやってみる」というスタートの仕方があるんです。


■ “一緒にやる”という選択

会社の社長を引き継ぐというのは、ただ椅子を譲って「はい、今日から君が社長だ!」ということではありません。
実際には、社長の仕事ってとても幅が広くて、すぐに全部こなすのは難しいものです。

だからこそ、「まずは一緒に経営をしてみる」ことがとても大切です。
親子でダブル社長、または代表と副代表でもいい。肩書きにこだわるより、「一緒に意思決定する経験」を積むことが、何よりの学びになります。


■ “親子”から“経営パートナー”へ

親と子という関係は、つい感情が先に出てしまいます。
「昔はこうだった」「俺のやり方が正しい」など、親の経験が豊かであるぶん、子どもが意見を言いにくくなることも。

でも、「経営者同士」という立場で話をするようになると、自然とフラットな関係が生まれてきます。
たとえば会議の中で、「私はこう思う」と息子が意見を述べ、お父さんが「なるほど、じゃあその方向で進めてみよう」と答える。

そういった対話の積み重ねが、「親の会社」から「自分たちの会社」へと意識を変えてくれるのです。


■ 対話が会社を変える

実は、事業承継の成功は“話し合いの質”で決まるといっても過言ではありません。
お互いの思いを、きちんと言葉にして伝え合う。
特に重要なのは、次のような対話です。

    • なぜこの会社を続けてほしいのか?

    • 会社の未来をどう考えているか?

    • 後継者として、どこまで関わりたいか?

    • こうした対話を積み重ねることで、想いと覚悟がしっかり育ちます。


      ■ “小さく始めて、大きくつなぐ”

      最初からすべてを背負う必要はありません。
      まずは、会議に同席してみる。経営判断に関わってみる。取引先に同行してみる。
      そんな小さな一歩からで十分です。

      一緒に走りながら、徐々にバトンを渡していく。
      そんな「なだらかな事業承継」こそ、家族の絆を壊さず、会社も元気に保てる方法なのです。


      ■まとめ

      「社長を継ぐ」というのは、ただの役職の交代ではなく、心のバトンを受け取ることです。
      だからこそ、いきなり一人で背負い込むのではなく、まずは“親子で経営する”という段階をつくることがとても大切です。

      親にとっても、子にとっても、そして社員にとっても、安心できる事業承継の形。
      それは、「対等に話せる関係性」から生まれます。

      さあ、最初の一歩は「一緒にやってみない?」という一言から始めてみませんか。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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