【事業承継と仏教】(No165)

対話のチカラで事業承継を支援する承継対話支援士の鹿島清人です。

中小企業の経営者って仏教の教えを大事にしている方が意外に多いです。

僕の知り合いの40代半ばのコンサルタントは、本気で仏教を勉強するために数年前から仏教系の大学の学生になり、目下、修行中という人もいます。

事業承継と仏教の教え:経営者としての心の整理術:

中小企業経営者として、長年にわたり事業を築き上げてきた皆様にとって、「事業承継」というテーマは避けて通れないものです。

しかし、多くの方が「誰に引き継ぐべきか」「どう進めるべきか」と頭を悩ませる一方で、その根底にある「心の整理」について考える機会は少ないかもしれません。

ここでは、仏教の教えに基づいて事業承継を捉え直し、心の負担を軽くするための視点をご紹介します。

仏教の教えに学ぶ「無常」の考え方:

仏教の基本的な教えの一つに「諸行無常」という言葉があります。

「すべてのものは変化し続け、永遠に同じ形ではいられない」という意味です。

事業もまた例外ではありません。

創業者の手から次世代へ引き継がれることで、会社は新しい形へと進化していきます。

この無常の考え方を理解することで、「自分が築いたものを手放すことへの不安」や「後継者がうまくやれるかどうかという心配」を受け入れやすくなります。

重要なのは、あなたの努力が会社の基盤となり、次世代に可能性を託すという大きな視点を持つことです。

執着を手放す勇気

仏教では「執着(しゅうじゃく)」が人々の苦しみの原因であるとされています。

長年かけて築き上げた事業への愛着や、従業員や取引先への責任感は、経営者として当然の感情です。

しかし、過度な執着は、冷静な判断を妨げたり、後継者の自由な発想を制限したりすることにつながりかねません。

たとえば、後継者があなたとは異なる経営スタイルを持っていたとしても、それを受け入れることが必要です。

仏教の「手放すことで新しい可能性が生まれる」という考え方を実践することで、後継者が自分らしい方法で事業を発展させる余地を与えられるでしょう。

「利他」の心で考える事業承継

仏教は「利他(りた)」、すなわち他者の利益を考えることを重要視します。

事業承継もまた、後継者や従業員、さらには取引先や顧客にとって、どうあるべきかを考える行為です。

事業承継を成功させるには、後継者が安心して引き継げる環境を整えることが大切です。

例えば、現場の業務内容や人間関係を丁寧に引き継ぐこと、または後継者に必要な経営スキルを学ぶ機会を提供することも、「利他」の一環といえます。

こうした姿勢は、周囲からの信頼を生み、円滑な承継を実現する基盤となります。

余談ですが、僕が設立した株式会社ジリリータジャパンという会社の社名は「自利利他公私一如」から取りました。

まとめ:仏教から学ぶ、心の準備

仏教の教えは、事業承継を「経営者自身が新しい道を切り開くための心の準備」として捉え直すヒントを与えてくれます。

以下のポイントを意識することで、より良い事業承継が実現できるかもしれませんね。

  1. 無常を受け入れる:変化は恐れるものではなく、新しい可能性の始まり。
  2. 執着を手放す:後継者に自由な経営の余地を与える。
  3. 利他の心を持つ:周囲の人々にとって最善の方法を考える。

事業承継は、経営者としての最後の大仕事であり、同時に次の世代への最高の贈り物でもあります。

仏教の知恵を参考にしながら、心穏やかにその準備を進めてみてはいかがでしょうか。

承継対話支援士 鹿島清人

承継対話支援士 鹿島清人

ジリリータジャパン代表の鹿島清人です。
後継ぎがイキイキと活躍している会社を増やしたいと思い、創業しました。
後継ぎが経営者になるための支援を通じて、「任せられる後継ぎ」を育て、20年続く、次の代まで続く事業と組織を創る支援を得意としています。

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